
アーティフィシャルフラワーとは?造花との違いをプロが解説
結論:アーティフィシャルフラワーは造花の一種です。
「造花」が人工的に作られた花全般を指すのに対し、「アーティフィシャルフラワー」は、特に生花に近い質感や高い装飾性を持つ造花を表す名称として、花材業界で広く使われています。素材や製法による公的な定義はなく、品質・見た目・用途などによって呼び分けられるのが一般的です。
近年は製造技術や素材が進化し、花びらの色の重なり、葉脈、茎の質感まで精巧に再現した商品が増えています。結婚式や店舗装飾だけでなく、仏花、インテリア、推し活、髪飾りなど、日常のさまざまな場面で使われています。
本記事は、1970年創業の造花メーカー・株式会社ポピーが運営する横浜ディスプレイミュージアムが執筆しています。造花の製造・販売と、店舗・ホテル・ブライダル施設などへの空間装飾提案に携わる立場から、用語の違いと選び方を分かりやすく解説します。
アーティフィシャルフラワーと造花の違い

アーティフィシャルフラワーの定義
アーティフィシャルフラワー(Artificial Flower)とは、ポリエステル、ポリエチレン、EVA、紙、樹脂、ワイヤーなどを組み合わせて作られた人工の花です。日本では、生花に近い質感や色、形を表現した高品質な造花を指す呼び名として定着しています。
造花とアーティフィシャルフラワーは別の種類ではありません。アーティフィシャルフラワーは造花に含まれ、同じ商品が販売店や用途によって「造花」「アーティフィシャルフラワー」のどちらの名称でも紹介されることがあります。
主な利用シーン
- ホテル・商業施設のエントランス装飾
- オフィス受付・ショールームのインテリア
- ウェディングブーケ・会場装花
- フラワースクールのレッスン花材
- 開店・開業・移転祝いのギフト
- リース・髪飾り・アクセサリーなどのハンドメイド

アーティフィシャルフラワーと一般的な造花の違いを比較
「造花」と「アーティフィシャルフラワー」に、法律や公的規格で定められた境界はありません。一般には、品質・見た目・用途・価格帯によって、次のように呼び分けられます。
| 項目 | 造花(一般的な呼称) | アーティフィシャルフラワー |
|---|---|---|
| 意味 | 人工的に作られた花全般の総称 | 高品質な造花を表す業界上の呼称 |
| 品質 | 簡易的な商品から精巧な商品まで幅広い | 比較的高品質な商品に使われることが多い |
| 素材 | ポリエステル、ポリエチレン、EVA、紙、樹脂など商品により異なる | 基本的には同様。素材より、加工・彩色・仕上げの精度で呼び分けられることが多い |
| 見た目 | 商品によって差が大きい | 花びらのグラデーション、葉脈、茎の質感などを細かく表現 |
| 主な用途 | 家庭用、DIY、イベント、仏花、ハンドメイドなど | 空間装飾、ブライダル、ギフト、フラワーデザイン、業務用ディスプレイなど |
| 価格帯 | 低価格品から高価格品まで幅広い | 加工や仕上げに手間がかかるため、比較的高めの傾向 |

高品質な商品は、花びらの色の濃淡や葉脈、茎の表面まで再現され、写真では生花と見分けにくいものもあります。ただし、名称だけで品質が保証されるわけではないため、購入時は実物の質感、裏側の処理、茎や葉の仕上げまで確認することが大切です。
造花・アートフラワー・シルクフラワー・フェイクフラワーとの違い
人工の花には複数の呼び名があります。厳密な規格がない言葉も多いため、名称だけではなく、素材・製法・用途を確認すると違いが分かりやすくなります。
| 呼び名 | 一般的な意味 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 造花 | 人工の花全般 | 品質・素材・価格帯を問わない最も広い呼び名 |
| アーティフィシャルフラワー | 高品質な造花を表す呼び名 | 生花に近い質感や、空間装飾に適した仕上げの商品に使われることが多い |
| アートフラワー | 布や紙などを染色・成形し、手作業で組み立てる人工花 | 「絹花」と呼ばれることもあり、クラフト作品やコサージュなどで使われる |
| シルクフラワー | 造花を表す従来からの呼び名 | 現在の商品が必ずしも絹製とは限らず、ポリエステルなどが使われることが多い |
| フェイクフラワー | 造花を日常的に表す言い方 | インテリア分野やECサイトで使われ、造花・アーティフィシャルフラワーとほぼ同義の場合が多い |
アートフラワーは手作業のクラフト技法
アートフラワーは、布や紙などを染め、花びらや葉を一枚ずつ成形して組み立てる技法です。型でパーツを量産し、組み立てて仕上げることが多いアーティフィシャルフラワーとは、製法と目指す表現が異なります。どちらも人工花ですが、アートフラワーは作家性や手仕事の質感、アーティフィシャルフラワーは生花に近い再現性や安定した品質を重視する傾向があります。
生花・プリザーブドフラワーとの違い
アーティフィシャルフラワーは人工素材、生花は生きた植物、プリザーブドフラワーは生花を加工して長持ちさせた花です。用途に応じて適した花材は異なります。
| 項目 | アーティフィシャルフラワー | 生花 | プリザーブドフラワー |
|---|---|---|---|
| 素材・状態 | 布・樹脂・ワイヤーなどで作る人工花 | 切り花や生きた植物 | 生花に保存加工を施した花 |
| 水やり | 不要 | 必要 | 不要 |
| 花粉・香り | 基本的になし | 花の種類によりあり | ほとんどなし(商品による) |
| 楽しめる期間 | 屋内で適切に管理すれば数年使えることがある | 数日から数週間程度 | 環境により数か月から数年 |
| 季節性 | 季節を問わず同じ花を使える | 開花時期・流通時期がある | 加工済み商品の流通状況による |
| 向いている用途 | 長期装飾、業務空間、ブライダル、仏花、ハンドメイド | 香りや瑞々しさを重視する贈り物、季節の装花 | 室内ギフト、小型アレンジ、記念品 |
アーティフィシャルフラワーのメリット
- 枯れず、水やりが不要:水替えや花器の洗浄がなく、管理の手間を抑えられます。
- 季節を問わず使える:ひまわり、ミモザ、藤など、季節性の強い花も年間を通して表現できます。
- 花粉が出ない:オフィス、医療・福祉施設、店舗などで花粉への配慮がしやすくなります。
- 形を調整しやすい:茎や枝にワイヤーが入った商品は、向きや広がりを設置場所に合わせて整えられます。
- 色や素材の表現が幅広い:自然界にない色、ベルベットやサテンのような質感も選べます。
- 繰り返し使用できる:適切に保管すれば、季節装飾やイベント装飾を翌年以降も再利用できます。
オフィス・店舗で選ばれる理由
水の管理が難しい商業施設、長期間同じ状態を保ちたいショールーム、花粉への配慮が必要なオフィスなどでは、管理コスト・衛生面・安定した見た目の観点からアーティフィシャルフラワーが選ばれています。複数店舗で同じ装飾を展開する場合も、同じ花材を揃えやすく、仕上がりを統一しやすい点がメリットです。


長く使い、廃棄を抑えるという考え方

造花は布や樹脂などの素材を使用するため、素材だけを見て「環境に良い」と言い切ることはできません。一方で、長期間繰り返し使う、花・葉・茎を別のアレンジに再利用する、環境に配慮した素材の商品を選ぶことで、短期間での廃棄を抑えることができます。横浜ディスプレイミュージアムでは、環境に配慮した素材を使用するクレールシリーズも展開しています。
注意点と長く美しく使うコツ
アーティフィシャルフラワーは枯れませんが、永久に変化しないわけではありません。色あせ、変形、ほこりの蓄積を抑えることで、美しい状態を長く保てます。
| 注意点 | 長持ちさせる方法 |
|---|---|
| 直射日光・紫外線 | 色あせや素材劣化の原因になります。屋内の直射日光が当たりにくい場所に飾ります。 |
| 屋外設置 | 屋外対応・耐候仕様の商品を選びます。対応品でも経年劣化するため、定期的に状態を確認します。 |
| ほこり | 柔らかいハタキ、ブラシ、乾いた布などで定期的に除去します。水洗いは商品表示を確認してから行います。 |
| 高温・湿気・火気 | 変形・退色・燃焼の原因になるため、暖房器具、照明の熱源、コンロ、ろうそくの近くを避けます。 |
| ワイヤー入りの茎 | 丈夫なワイヤーカッターを使用し、切り口で手や家具を傷つけないよう処理します。 |
| 保管 | 花や葉をつぶさず、湿気と直射日光を避けて保管します。再使用前に形を整えます。 |
初心者でも扱いやすい花材


茎や枝にワイヤーが入った商品は、完成後でも花の向きや広がりを整えられるため、ブーケやリース作りの初心者にも扱いやすい花材です。作りのしっかりした商品ほどワイヤーが太い場合があるため、一般的なはさみではなくワイヤーカッターを用意してください。
業務利用で失敗しない選び方
店舗・ホテル・オフィス・イベント会場では、花単体の見た目だけでなく、設置環境、見る距離、安全性、メンテナンスまで含めて選ぶ必要があります。
- 設置環境を確認する:屋内・屋外、直射日光、空調の風、湿気、照明の熱などを確認します。
- 見る距離に合わせて品質を選ぶ:受付やテーブルなど近くで見る場所は、花芯・葉脈・茎の処理まで精巧な商品が適しています。高所や遠景では、細部より色とボリュームを優先できます。
- 空間の大きさに合わせる:広い空間では、小さな花を増やすより、大枝や大輪花を使ってシルエットを作る方が効果的です。
- 実際の照明で色を確認する:店内照明や撮影照明では、花色が商品写真と違って見えることがあります。可能であればサンプルを設置場所で確認します。
- 落下・転倒・火気への安全対策を行う:大型装飾は重量、固定方法、避難動線、ワイヤーの切り口、施設の防火ルールを確認します。
- 清掃と交換の計画を決める:高所装飾は清掃しやすい構造にし、破損時に交換できる予備花材や品番を記録します。
- 複数拠点では供給の安定性を確認する:チェーン店舗やスクール教材では、必要数量、追加発注、ロットによる色差を事前に確認します。


用途別の活用シーン
結婚式のブーケ・会場装花


結婚式のブーケや会場装花には、アーティフィシャルフラワーが多く使われています。季節に左右されず好きな花を選べるほか、衣装に花粉や水が付きにくく、前撮りと挙式で同じブーケを使うこともできます。会場によって持ち込みや素材のルールがあるため、事前に確認してください。
仏壇・お墓に供える花

猛暑や遠方で頻繁に手入れできない事情から、仏壇・お墓に造花を選ぶ方もいます。枯れにくく、水替えが不要で、花粉や傷んだ花びらが出にくい点が特徴です。一方、地域・宗派・寺院・霊園によって考え方や規則が異なるため、不安な場合は菩提寺や管理者に確認してください。
フラスタ・祭壇などの推し活


自然界にない色や異素材を自由に組み合わせられるため、キャラクターや作品の世界観を表現する推し活に適しています。季節にとらわれず、藤、ひまわり、桜などを使えるほか、イベント後に花を持ち帰って再利用することもできます。
ナチュラルインテリア・フェイクグリーン

水やりや日照の管理が難しい場所でも、花やグリーンのある空間を作れます。窓のない部屋、空調が強い店舗、家具の上や高所など、生花や観葉植物を管理しにくい場所に向いています。定期的にほこりを取り、直射日光や熱源を避けると長く楽しめます。
成人式・発表会・お遊戯会の髪飾り


軽い花材や小さなパーツを選べば、成人式、卒業式、発表会、お遊戯会などの髪飾りを制作できます。衣装の色に合わせやすく、事前に作って保管できる点もメリットです。
イベント会場のフォトスポット


イベントやフェス、商業施設では、長期間同じ状態を保ちやすい造花がフォトスポットに使われます。フラワーウォール、ジャイアントフラワー、大枝を使った装飾など、テーマやブランドカラーに合わせて空間全体を設計できます。
横浜ディスプレイミュージアムで選ぶメリット
- 造花メーカーの専門知識:自社で商品開発・製造を行う立場から、花材の特徴や用途に合わせた選び方をご案内します。
- 花材から花器・資材まで一緒に選べる:アーティフィシャルフラワー、フェイクグリーン、花器、リボン、制作道具、ディスプレイ用品をまとめて比較できます。
- 完成イメージを確認しやすい:店内のコーディネート展示や事例を見ながら、色・サイズ・組み合わせを検討できます。
- 個人利用から業務利用まで購入方法を用意:業務会員向けオンラインストア、一般のお客様向けダイレクトストア、実店舗をご利用いただけます。業務取引価格は対象となる業務会員向けの制度です。
よくある質問
Q. アーティフィシャルフラワーと造花は別物ですか?
A. 別物ではありません。アーティフィシャルフラワーは造花の一種です。「造花」は人工花全般、「アーティフィシャルフラワー」は特に高品質な造花を表す名称として使われますが、公的な定義の違いはありません。
Q. アーティフィシャルフラワーの寿命はどのくらいですか?
A. 屋内で直射日光や高温多湿を避け、定期的にほこりを取れば、数年にわたって使える場合があります。設置環境、素材、色、使用頻度によって劣化の速さは異なります。
Q. 屋外でも使えますか?
A. 屋外対応・耐候仕様の商品を選んでください。一般的な屋内用商品は、紫外線、雨、風、温度変化により退色・変形・破損しやすくなります。屋外対応品も永久に劣化しないわけではありません。
Q. アートフラワーとの違いは何ですか?
A. アートフラワーは、布や紙を染色・成形し、手作業で組み立てるクラフト技法を指すことが一般的です。アーティフィシャルフラワーは、型で作ったパーツを組み立て、生花に近い見た目や安定した品質を表現する商品が中心です。
Q. 結婚式や開店祝いに造花を使うのは失礼ですか?
A. 一般的に失礼にはあたりません。ブライダル装花や開店・開業・移転祝いにも広く使われています。枯れずに長く飾れることを「長く繁栄する」イメージとして選ぶ方もいます。贈り先の好みや施設の持ち込み規則は事前に確認してください。
Q. 仏壇やお墓に造花を供えてもよいですか?
A. 地域、宗派、寺院、霊園によって考え方や規則が異なります。管理しやすい造花を選ぶ場合もありますが、「生花を供える」とする考え方もあるため、不安な場合は菩提寺や管理者に確認してください。
Q. 個人でも購入できますか?仕入れ価格で買えますか?
A. 一般のお客様は実店舗やYDMダイレクトストアを利用できます。業務取引価格は、法人・個人事業主、教室運営者など、所定の条件を満たす業務会員向けの制度です。購入方法や会員条件は最新の会員案内をご確認ください。
まとめ
- アーティフィシャルフラワーは造花の一種で、高品質な造花を表す名称として使われています。
- 造花との間に公的な素材・製法の区分はなく、品質・見た目・用途で呼び分けられるのが一般的です。
- アートフラワーは手作業のクラフト技法、プリザーブドフラワーは生花を加工した花で、素材と製法が異なります。
- 水やり不要、花粉が出ない、季節を問わない、繰り返し使える点が主なメリットです。
- 直射日光、屋外環境、ほこり、熱、火気に注意すると美しい状態を保ちやすくなります。
- 業務利用では、設置環境、見る距離、サイズ、安全性、清掃・交換まで含めて選ぶことが重要です。



